亀梨和也さん主演でドラマ化された小説です|さいたまの厳選不動産情報|購入も売却もレックス大興

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  • 亀梨和也さん主演でドラマ化された小説です

    byまちだまお

    『正 体』

    著者:染井為人  出版社:光文社

     

    ■あらすじ


    一家3人を惨殺した少年死刑囚が脱獄し行方をくらまします。

    少年は名前を偽り、整形などで外見を変えながら様々な場所を転々としていきます。


    住み込みで働ける工事現場、リゾート地。
    ある時は都会に現れたり、新興宗教に入信したり。

    そこで出会う人々は何かしらの悩みや問題を抱えていたが、
    彼と関わるうちに生き方や考え方を変えていきます。


    しかし警察は彼を死に物狂いで探しているため、
    居場所を突き止めて確保しようと何度もやってきます。

    ギリギリのところでいつも逃げ切っていましたが、最後に働いた老人ホームで追い詰められ、
    従業員一人を人質に取って立て籠もりを実行。そして彼の運命が決まることに・・。

     

     

    ■感想
     

    読み始めるまでは、ただの脱獄犯の逃走劇かと思っていました。

    しかし読後の感想を一言でまとめるなら「幸せになってほしかった・・」


    少年が巡った5か所で出会った人々がそれぞれ抱える現代あるあるな問題。

    少年は口数が少なく深いかかわりを作らないけれど、
    そんな人たちを助けていく姿に「本当にこの人が犯人?」と疑問が生まれ、
    彼の人情に惚れて感情移入してしまいます。
     

    各所の5人も少年と交流するうちに「あれ、この人もしかしてあの脱獄犯では・・?」

    と気づき始めるけど、それまでの彼の善良さに触れ、
    警察から彼を守ろうとするところも心が温まります。


    それぞれの場所で繰り広げられるストーリーは短編集のようでサクサク読みやすい!

    だけどラストは、やるせない気持ちでいっぱいに・・。

    本当に彼が犯人なのか、冤罪なのか。状況証拠って表裏一体ですね。

     

    一点気になったのは、最後の展開がずいぶんと駆け足だったこと。

    それまではとても丁寧に書かれていたのにずいぶんと浅く、淡々と結末を迎える。

    作者が「気づいたら600ページ超えてる?!ラストはちゃちゃっとでいいか!」
    くらいの感じなのでは。と思うくらいにあっさり(笑)


    逆にさっぱりしていいのかな。

    テキーラを飲んだ後にかじるライムくらいのサッパリ度です。